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「実在しない彫刻」VR展覧会オフライン体験イベント

「デジタルフィールドを歩む、デジタル彫刻を触る」


開催時間:2023年1月27日(金)ー2月2日(木)
開催地:脱衣所 - (a) place to be naked
開館時間:12:00~19:00
入場料:1000円
アクセス:日暮里駅から徒歩8分
主催:Upload AIR
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
脱衣所 - (a) place to be naked

​©︎rieproduce

​©︎mia_meerkatgirl

​©︎puiyamchoi

 1979年、ロザリンド・クラウスは「展開された場における彫刻」を提示した。彫刻は表現の場を変えることによって、彫刻空間の変化を表すだけでなく、彫刻が特定のメディウムを超越し、複数の形態を総合したもとでの顕現となることを可能にするのである。だが現在に至って、メディウムの固有意味または社会意義は彫刻に影響しつつ、食い尽くすこともある。その前、ハイデガーは「芸術と空間」を発表し、"彫刻としての芸術、空間のいかなる占有ではない "と言及し、それは「様々な立場の体現」である。彫刻によって表現された空間の空虚さ(Leere)が無から生産/生成を表し、彫刻は空間的な位置を模索し、計画しながら布置する(suchend-entwerfendes Stiften von Orten)こととなる。しかし、リアル世界では最小単位でも位置の集合となり、空虚がもたらす存在は仮説でしかない。独立の座標が使えるデジタル空間だからこそ、位置の集まりの曖昧さを回避し、彫刻が占拠しない空虚が空間及び彫刻の一部として存在する可能性を見直せる。本展は、デジタルフィールドへの展開によって彫刻メディウムがもたらす固有意味の移行と、彫刻が提示するデジタル空間の在り方に注目する。

 本展は彫刻的制作・思考背景をもつ4名のアーティストを招き、制作時・展示中に受ける物理的・自然的制限がなく、素材・空間が全て0から始まり、VRで彫刻の試みを提示する。本展の構造は、台座をモチーフに彫刻の刷新を記念するモニュメントをメイン会場として制作し、オープニングとエンディングスペースはモニュメントによって完結する。会場内、鑑賞者はアバターを持たず、実在しない客体として案内通りに次々と展示空間を鑑賞する。展示空間と並列する廊下空間では、古代墓室が壁画で霊体活動を示すように実体のない鑑賞者に展示空間を案内する。

 本展では、作品・鑑賞者を含めた不在である存在が彫刻空間の空虚を提供し、空虚の生まれる空間が彫刻の一部として提示する。ヴァーチャル空間における彫刻概念に問いかけ、素材・方法・フォルムなど伝統的なアート概念イメージの間に潜む彫刻の可能性を引き出す。

​テキスト:李静文

​©︎Upload AIR

『Détaché』は、優里歌・ソフィー・山本とLuigiが秋から始めたコラボレーションの最初の作品です。ユリカはベルリンを拠点に活動するパフォーマンスアーティスト兼ダンサーです。 東京では 9 月に、モーションキャプチャー技術を使用して、彼女の動作やダンスを映像に残しました。ここに展示されている作品は、彼女の動きを取り入れたデジタル彫刻とアニメーションです。Luigiが特にユリカのパフォーマンスで魅力を感じるのは、体が軸から外れてしまう瞬間、そしてバランスと方向性を失ったかのように動く瞬間であり、それらを切り取って作品に仕上げていきたいと思っています。Luigiはこれらの一瞬一瞬を、フォームや彫刻作品のベースとインスピレーションとして使用します。VR デバイスの現在の制限を意識しながら、スタティックな形に焦点を当て、アニメーションを最小限にして長さよりも精密度を優先することにしました。

​©︎Upload AIR

 球体空間の中では日本列島の各所に点在する空港の制限表面が可視的な状態で空間規定が行われている。それぞれは各空港周辺の地理的特色や都市の発展の仕方の具合によって様々な形をしている。仙台国際空港制限表面は太平洋に向かって開かれた巨大な扇である。中部国際空港制限表面は5大都市最大の湾港を覆い尽くす。関西国際空港制限表面は和泉山脈のトリッキーな悪戯をスレスレのところで回避する。大阪国際空港制限表面は米粒のような航空機を都市上空へ巻き上げる唐箕である。松山空港制限表面の北縁と南縁の絶妙な長さの違いに気品を感じる一方で、福岡空港制限表面の過激派には目を見張るものがある。長崎空港制限表面は雲仙の火山への目配せをしつつ大胆さを演じることを忘れない。那覇空港制限表面はさながら東側の空間に食らいつこうとするパックマンのようである。羽田空港制限表面は都市の蠢きとの折り合いを付けながら巧みに変化する。

 制限表面は勿論これだけではないが、今回はこの9区を例として選出した。制限表面は法的な規制空間であり、地理的条件や都市開発の意図、また地政学的、国際政治的な関係によって形を変化させる、建築物の高さと航空リスクを媒質とした拮抗状態の中で生じる法学的界面である。

この不可視で実体のない空間を仮想的に出現させることで、各都市生活におけるアフォーダンスを拡張することができれば幸いである。

​©︎Upload AIR

 本作は、2023年1月に発表を行った映像作品。

「CONTENA」の制作の過程で生まれた、9つのスキャンによる3DCGデータをヴァーチャルの空間へと移送したものである。この紐付けられている映像作品は、ライトステージが舞台としており、黄色の発泡ポリエチレン製看板保護用カバーを梱包用ラップを用いて、作者自身の顔を中心とした身体へと身につけていく過程を記録したものである。ライトステージというリアルからヴァーチャルへの移送の過程で発生する装いを描いた本作だが、その過程をこの場ではスキャンによる9つの3DCGデータとして発表する。

​©︎Upload AIR

「無明」シリーズの作品の一つ。

「無無明 亦無無明尽」(むむみょう やくむむみょうじん)訳としては「無明が無く、また無明が尽きることも無く」となる。

 縁起説において、迷いの世の中のあらゆる存在が苦の生存を繰り返している。その苦しみの根本原因として「無明」(無知)が存在するからなのだ。「無無明」とは、無知はないという意味だ。

 それを踏まえた上で、「無無明尽」とはそもそも無明はないのだから、ないものをなくしてもさとりは得られないという理屈になる。

 本作品は「無無明尽」の宗教概念と現実世界に存在不可能な超立方体の概念を組み合わせて、デジタルの世界に重層入れ子構造の空間をつくった。入れ子構造では自他的の区別が曖昧になるので、身体と意識はこの重層空間の内部に生まれる外部を、離脱した超越的な主観性へ変容する。そして、超越的な主観性が客観的な身体の外に出るという反転の現象を体験できる。

© 2023 | Upload AIR

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